変動金利と固定金利どっちがお得?
変動金利と固定金利の基本
変動金利と固定金利の決定的な差は、金利が変わるかどうかです。よく知られているように、固定金利の場合は固定されたままです。変動金利の場合は半年ごとに金利が見直されます(返済額の変更は5年毎、上限は1.25倍)。固定金利は安定した支払い計画が立てられる分、金利は高めの傾向にあります。一方変動タイプの場合は金利が低めに設定されています。
なお住宅金融支援機構が行った民間住宅ローン利用者に関する調査では、調査対象となった1,500人のうち、変動型の利用者割合は56.5%、固定期間選択型の割合は30.1%、全期間固定型は13.3%という結果になりました。圧倒的に変動型(一部変動型も含む)が人気がある事が分かります。
変動金利と固定金利どっちがお得?
両者は全く違うタイプの金利形態であるため、どちらがお得なのかという点がよく指摘されます。結論から述べると「どちらとも言えない」というのが答えです。理由は簡単です。金利は変わるため、将来の金利次第で変動金利が得する場合もあれば損をする場合もあるからです。5年後や10年後のことは誰にも予測できません。15年後や20年後であれば尚更です。
何年も前にアメリカでサブプライムローン問題がありましたが、当時アメリカは不動産バブルだったため金融機関は物件が上昇し続けると踏んでいました。しかし結果として不動産価格の下落が発生し、世界的な問題になりました。アメリカと日本の住宅ローンの仕組みは異なるものの、将来の出来事を予測できないという点を強力に示す例です。
変動金利は金利が下がる事で支払額が下がり、上がる事で支払額が多くなります。変動金利は5年ごとに返済額が変わることがありますが(上昇上限は前回返済額の1.25倍)、今後何かしらの社会問題で金利上昇が続く可能性は否定できません。そのため現状金利やいくらかの経済予測をもとに、固定金利が変動金利かをその都度考える必要があります。実際2010年と2015年の住宅ローンの利用者割合を比較した場合、2015年には全期間固定型利用者と変動型利用者の割合が増え、固定期間選択型利用者の割合が少なくなりました。一方10年以上前には全体の7割が全期間固定型を選んでいたという記録もあります。金利状況を分析してその時のベストなチョイスを行うことが一番の解決策と言えるでしょう。
考慮すべき別の要素
固定金利か変動金利かを選択する上で大切な別の要素があります。それは各家庭の収入や支出状況です。もし教育費など支出が一時的に増える時期と、退職や収入の減少が同時期にくることが予測できる場合、ローン返済が難しくなる恐れがあります。仮にその時期に金利が上昇した場合は、最悪返済不可に陥るかもしれません。今後の収入や支出に不安がある方は、最初から返済額が分かっている固定金利にうま味を感じるかもしれません。さらに住宅ローン減税も影響してきます。考慮すべき要素は多くあるため、いずれにしてもプロに信頼できるアドバイスをしてもらう事が肝要です。