日本と海外の住宅ローンの違い
社会問題となったサブプライムローン問題
何年も前に社会問題となった住宅ローン問題があります。それはサブプライムローン問題です。サブプライムローンとは、信用力が低い低所得者層を対象にした住宅ローンです。特徴として高金利でハイリスク・ハイリターンでした。中期の延滞を複数回している事や、所得の半分以上の借入があるなど、かなりリスキーな融資条件を提示していました。しかし最初の数年間の返済額を低く抑えられるという条件もつくなど、一見借りやすい仕組みになっていたこと、住宅バブルが当時続いていた事などを背景として、多くの方が契約をしました。しかし不動産価格が下落したため、最終的に多くの金融危機を招きました。サブプライムローンが対象にしていた層は、日本ではとても融資が認められないような層でしたが、アメリカと日本とでは住宅ローンの仕組みにそもそも違いがあります。サブプライムの原因に見る、海外と日本の住宅ローンの違いについて解説します。
海外はノンリコース型が多い
一般的に海外の住宅ローンは「ノンリコース型ローン」です。ノンリコースとは非遡及融資のことです。これは簡単に言う場合、ローンの返済が難しくなったクライアントが、「住宅を手放す事でそれ以上の責任を負わなくてよくなる」という仕組みのローンです。このタイプのローンはアメリカやイギリス、オーストラリアなどで主流です。返済が難しくなっても返済原資が担保物件だけのため、ローンを組んだ側はある意味自由になります。一方ローンを提供した金融機関はリスクを負うことになります。物件を競売にかけて、売却額がローンの残債よりも低かったとしても、その差額分は金融機関の損となります。サブプライムローン問題はこのノンリコース型の住宅ローンも関係して起きました。金融機関は住宅の価格が右肩上がりで上昇すると期待していましたが、不動産価格が下落しました。その結果金利が上がりましたが、それはローン返済ができない人を増やす結果となりました。返済不可になったクライアントは家を手放すことにして自由になりましたが、ノンリコースのリスクを一身に負う金融機関は焦げ付いたローンから膨大な損を被りました。
日本はリコース型が多い
一方日本の住宅ローンはリコース型です。つまり返済リスクを借り手が責任を持って追うタイプのローンです。仮に返済が難しくなって住宅を売却しなければいけなくなり、売却額がローンの残債を下回る場合、残った債務は借り手が負担しなければいけません。自己破産しない限りは返済義務がつきまといます。これが海外の住宅ローンとの大きな違いです。
ここまで見ると一見日本のリコース型の方が優れているように思えます。しかしノンリコースとリコースの優位性については一概には言えません。ノンリコースは確かに借り手のリスクが非常に低い分、金融機関の追うリスクが高すぎる場合があります。しかしその分借り手側の安心感が高いです。リコース型の場合、借り手が消えないローン返済義務に行き詰って絶望し、自殺に至るといった深刻な問題が生じかねません。このように両者にメリット・デメリットが存在します。いずれにしても、住宅ローンは身の丈に合った無理のない返済計画が立てられるプランを選ぶ事が肝心です。